2000年代の最近のブログ記事

011.jpg  昨日でミュージック・マガジン誌1位聴きは一応区切りがついたんで「JAZZとびっきり新定番500+500」から、2000年代のものをピックアップして聴きました。この本は4部門に分けて星付けてるんですが、そのうちの一つcool部門で5つ星。そしてもう一つgroove部門に4つ星と、この書籍の中でも、もっとも評価の高い一枚です。聴く前から、いやがおうにも期待に胸が高まりましたね。
 しかもタイトルが「The Trumpet Player」ですから。もう、この覚悟一発みたいなタイトルには、それだけで好印象ですよ。
 で、聴きました。
 ワタクシの最も好きなトランペッターといえば、クリフォード・ブラウン。勿論、他にも色々と楽しむ要素があるから、トランペットはクリフォード・ブラウンだけ、なんて乱暴な事は言わないんだけど、こと楽器プレイヤーとしてみたら、クリフォード・ブラウンが最高のトランペッターだと思う。
 さって。どうかね〜。
 なんてイジワルな気持ち満載で聴いたんだけど、こりゃ、びっくり。
 そりゃね。無人島に行くのにどっちか選べと言われたらクリフォード・ブラウン選ぶと思うんだけどね。アヴィシャイ・コーエンという一度覚えるまでは大変だが、覚えてしまうとゼッタイに忘れないイスラエルという全然馴染みの無い国のトランペットの音も、十分個性的で、十分刺激的で、十分聴く楽しみあるよ。ガンガン歌ってるしなあ。ビアノなしの編成も、自信と覚悟の表明なんだろう。といいつつ、どうも、偶然の産物らしいんだけど。f(^^;)
 勿論、あんまり聴いてないし、いい加減な事ばっかり言うんだけど、2000年代のジャズって、個性的で素晴らしいんだけど、自分の好きなことやってて、聴いてくれる人がいればそれでいいっていうか、それはそれで立派な態度なんだけど、ちょっとクールな感じを受けてます。特にこの本で紹介されているものは、そんな感じ。分かる人だけ分かればいいっていうか。まあ、それはどの年代でもあるんで、年代で区切るのも全く意味はないけど。
 でも、ここでの音は全く違ってて、どりゃ〜、オレの音聴いてみんか〜い、このトランペット聴かんか〜い、というゴリゴリ押してくる感じがめちゃめちゃいい。全くジャズ的なセンスのカケラもないジャケットも、そう思うと、らしくてかっこよく思えてくる。
   
20070918.jpg  道は果てしなく遠いって感じがしてきた。ジャズを聞いて、ある人を気に入って、アルバムを揃えようとする。死ぬよ。それがビックネームだけじゃなくて、ちょっと名の知れた人だとみんなそうだからなあ。リーダーアルバムならまだしも、サイドとして参加してるものまで集めようなんて、ほとんど狂気の沙汰かと思ってしまう。ロックでいうと、海賊盤までみんな集めようとする感覚かな。
 だから、本当に名盤だとか、スゴイ盤だとかエライ盤だとかは、なっかなかない。それでもジャズ好きな人は全部聞く勢いなんだよねえ。はい。ワタクシも20年前、ジャズ全部聞いてやる〜って思ってました。
 でも、最初のうちは、って今だ今、判別つかなくて苦しいんだよね。昨日のセルゲイ・マヌキャンとどう違うんや。さっぱり分からん。たった今、この2枚からブラインド出されても分からんな、多分。最後の曲ぐらいは覚えてるって感じやろか。
 しかし。ジャズって本来そういう所を持った音楽でもあるんだよね。だれでもすぐに誰か分かるなら、ブラインドテストなんて発生しないし。ロックではなかなか考えられないけど、それでもアドリブのソロ部分だけで見分けるのは、ある程度聞き込んでいないと難しいかな。でも、曲特有のメロディーがあり、声があり、誰か分からんって感覚はあんまり無いよね。
 同じピアノトリオで同じビートで。分からんよ。アドリブも聞き分けられんし。ふに〜。その点、上原ひろみは良かったなあ。全部オリジナルで分かりやすいもん。
 その点、全くジャズって大変。


 耳、返ってくるやろか。いやいや。弱気はアカンで。今は単に修業中。もすこし、巨人も聞こう。

20070917.jpg  ええとですね。日本盤を購入したのですが、解説があまりにあまりでゲンナリ。別に人がどう聴こうが、何をどう書こうが全くどうでもいいんですが、あまりにヒドくありませんか。
「タバコの煙ムンムンのピアノトリオ」って、なによそれ。で、読み進めると、タバコの煙とは中低域の張り出した音、だそうだ。ほほう。
 解説読むのが聴いた後で良かったよ。最初にこの文読まされてたら先入観で聴く気力なくなってたかもよ。マイナーレーベルで好きなこと書けるのかも知れないけど、ちょっとこれはなあ。
 じゃなんでしょ。タバコ吸わない人間にはジャズが分からんと。聴けんと。いや、逆にタバコの煙さえしてればオーケーなジャズだと。幸せな人そうだね。
 ちなみにきちんと署名がある。これは正真正銘エライっ。
 ディスクSHOWAの松崎政博さん。はいはい、タバコタバコ、お酒お酒、ドラッグドラッグ。良かったね。すごいすごーい。

 で、肝心の音は、ワタクシのイメージするタバコとは、全く違う印象を受けました。タバコというより、味がない炭酸飲料、てな感じでしょうか。これをタバコの煙と表現する人がかたや居るんだから、人間の表現、感受性とは全く面白いです。

 ピアノトリオは聴きやすいし、曲も丁寧な選択で聴きやすい。間違いなくいいアルバムだけど、古典的ジャズの名盤を蹴散らして聴きたくなるかどうかが分かりません。このフレーズが聴きたいとか、この瞬間がいいってなウリがないと、聴く順番遅いかも。
 ワタクシは録音が新しいだけで、かなり聴きたくなるんだけど、わざわざ無味なもの聴くだけなら、時間もったいないって感じしてきたなあ。もう少し後でと思ったんだけど、歴史的な名盤ガイド持ち出そうかな。  

20070914.jpg  ジャズが果たしてどんな音楽なのか、というのは百家争鳴色々とあるんだろうし、また個人的にも魅力は一つではない。だけどまあ、ワタクシの好きなひとつの大きなものとして、オレの事聴いてくれ〜、という叫びがあるものが好き、というのがある。勿論これはジャズだけじゃなくって、音楽全般そうだね。ロックやポップスと違ってジャズには直接言葉が無く独特の表現方法なので、それが面白い。おまけに、言葉がない、ということは逆に自分の好きなように言葉を聞くことができる、というのも魅力だ。特にコルトレーンなんかそんな魅力満載だけど、これはまたコルトレーンの時に書きまくろう。

 で、このルイジ・マルティナーレ・トリオ。もう、めっちゃめちゃ奇麗なメロディーなのよ。特に前半が凄かったけど、これは後半がイマイチとか、慣れた飽きたではなく、こちらの体力がないということであろう。ジャズが、音楽が好きなんだなあ、と思う。心地よくて何度も聴いた。で、何度も聴くと、どーしてもなんか言いたくなってくるのが、ワガハイの根性のねじ曲がっている所なんやなあ。
 めちゃめちゃ良質の音楽やと思うんやけど、ここを聴いてくれ〜、オレはこれだけは言いたいんや〜、お前に伝えたいんや〜、という強引さが感じられないんよね。
 でも書きながら考えた。モテるヤツに何の情熱も必要ないように、何もしなくてもいいんなら、何も必要ないんよね。横向いてる人間の耳にも強引に入ってくような、そんな音楽が好きなんやけど、これは結局のところ、自分にないものを求める、というヤツでしょか。
 そう思うと、自分に出来ることをやる、という潔さもなんか感じてきたけど。そりゃいいよな。こんな美しいメロディー書けるんだもんな。ほんまに僻んでいるな。
 でもそれでいいのである。話を聞いてあげたのだから、今度はこっちが好きな話をする番なのであるからして。

20070913.jpg  届きました。HMVから。早い。エライッ。どれから聴くか迷った。なんせ聴く順番というのは取り返しのつかない、やり直しの効かない重大な選択であるのであったのだ。って大げさな。で、前回聴いたスパイラルの次の作品、去年(2006年)の録音のものです。

 うむ。期待通り。思った通り。想像通り。予想通り。だね。
 するとリスナーというのは残酷で冷血なんで、どうしてももっともっと、という気になってしまう。でも構成もメロディも曲を判別するにはありがたいけど、この際、もっともっとアドリブを前面に出して貰いたい気がする。もっともっと我儘に喚き散らして欲しい感じがする。
 構成もきちんとしてるが、逆に破綻もない。優等生ではあるが、何か物足りない気がする。なんか、自分の中でイメージしてる渡辺美里に似てる感じするな。だから気になるのかな。ジャズ界の渡辺美里ってことでどうだ。どちらにも失礼かな。

 多分これが最新作。ということは、次の作品はリアルタイムで聴けるということだ。楽しみだね〜。

20070910.jpg  すっかり気を良くして次のアルバムへ。前回上原ひろみはMelodius部門5つ星だったけど、今回のバッド・プラスはGroove部門5つ星である。よく見ると、コメント欄には誰か分かる簡単な署名が書いてあるじゃないの。集団的匿名無責任執筆じゃなかったのね。ふむふむ。とちょっといい音楽紹介して貰ったら、とたんに甘くなる。でも確かに500+500の1000枚も聞いてられないでしょう。てなことで、親切な指標にも感謝しつつ聞いてみると。

 やられたっ。2。

 一瞬にして強引にバッド・プラスの世界に引きずり込まれた。待てよ。そういえばATOMICもこうした強引系列だったな。なんであっちは一歩引き、こっちはあっさりと引きずり込まれたのか。多分グルーブの中にあるファンク的なリフ、メロディーが結局は分かりやすいからやろうね。
 その上に乗っかってるピアノソロもなかなか激しくて面白いし、それにとても三人の音とは思えない迫力だけど、ピアノ、ベース、ドラムという基本編成が耳に入るのかもな。
 特に3曲目。CD聞き終わったあとも、ずーっと、口がじゃじゃじゃららっ。じゃじゃららじゃじゃらら、じゃじゃじゃららっ。止まらん〜っ。

20070909.jpg  さすがにミュージック・マガジン誌の先鋭さには、まだまだリハビリをしなけりゃならない身には大変にツライ。千里の道も一歩から。kingの道も素人からだ。
 てなことで、少し目先を変えたガイドが欲しい。そう思ってタワーレコードに行って適当な本がないか探したら、文庫のクセに1000円近くする本を見つけた。「JAZZとびっきり新定番500+500」MOONKS/だいわ文庫だ。古典的定番を飛び越えて70年代からのジャズを楽しもう、と書いてある。内容はビニールパックしてあって立ち読み出来なかったが、とりあえず買って帰る。
 まずMOONKSとは一体なんぞやと思ってみると、六人の頭文字から取り、批評ではなく、ただ「好き」を唯一の基準にすると書いてある。ふ、ふ、ふ、ふざけるな。大の大人が他人の好き嫌いを基準に聴けるか。しかも連名と来る。個人で責任を取らない無責任集団だと決めつけ、しかも好きを基準にして逃げている。この段階で全く読む気を無くしたんだが、なんせ1000円も払ったのだ。もったいない。前書きだけでも読むか。
 するとである。おや?なかなかいいことが書いてあるじゃないの。ジャズはリアルタイムの音楽であると定義する。そしてジャズを「音楽の総合格闘技」だと言い切っている。まさにその通りだ。古典的ジャズだけ、ロックだけ、ポップスだけ、を聞いている人間には多分分からない世界なんだろう。我が意を得たり。
 集団的逃げ姿勢はちと気に入らんが、この際他に指針もないことだし、少し付き合うか。アルバムごとに4つの指標を用意してくれているので、そのうちの一つでも満点、5つ星のあるものから聞いて行くことにする。

 そして最初に選んだのが2000年代新録、上原ひろみのスパイラルでありました。実はネットで結婚した、という情報を偶然読んで名前が頭に残っていたのだ。訳の分からん理由ではあるが、出会いとはこのようなものだ。そして興味津々で聞いた。

 やられた。

 なるほど、このメロディアスな展開。ほとんどジョージ・ウインストンのオータムである。しかし、1曲目の旋律が出てきた時にはドキッとした。4曲目が始まった時には一緒に踊ってた。聞きやすいったらこの上ない。でももう人妻なんだよな。出会うのが遅かった。(T_T)なんのこっちゃ。
 それは冗談としても、顔も全くワタシ好みである。もうええってば。f(^^;)
 うむ。最近のものは全然聞いてなかったから他のものも全然知らないのは当然なんだけど、日本人のジャズってこんな展開になってるのかな。他も聞いて見たいな。分かりやすいポップス的な旋律と、クラシックかは知らんが、きちんとした構成の中を、丁寧なアドリブで繋ぐ。確かにジャズの生命線、肝心のアドリブも構成が効き過ぎて、衒いが無さすぎる感じがしないでもない。それでも、こんなに文章書けるぐらいの感想が次々に湧いてくるのだ。いいジャズを聴いた時、どうしようもないぐらい何かを書き留めたくなる。久しぶりにこの感情に再会したのでありました。

 聞き終わった後、即効でHMVにネットで繋ぎ、上原ひろみが出している全てのアルバムを購入した。日本人なのに、アメリカのレーベルと契約しているそうで、輸入盤が安い。お買い得だ。

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