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0710201.jpg  う〜〜ん。ワタクシの生涯で最も感動したアルバムの中に、マイルス・デイヴィスの「アガルタ」「パンゲア」がある。2枚組なんでなかなか気軽には聞けないのではあるが、この2枚にめぐり逢えた事は、生涯最も幸運な出来事の一つだと思っているぐらいに気に入っている。なんでこんな事を最初に書いているのかと言うと、この「ススト」、思いっきり、アガルタ、パンゲアしてるからだ。
 1981年度脇谷浩昭さん選定ベスト10に入選。中村とうようさんも、1981年4月号で満点評価で、年間ベスト10でも次点と、かなり評価が高い。おまけに解説の野口久光さんも、これがマイルスの新作だと言われたらしばらくはそう信じたかも知れない、とライナーに書いてある。これは相当の賛辞であるよね。
 確かに、これが実はアガルタ、パンゲアの前に録音していた、となると、目の玉飛び出るぐらいにびっくりして、あのマイルスがコンセプトをパクってた、なんてチビッてたかもしれん。それぐらいにはレベルが高く、緊張感溢れる音楽、JAZZに仕上がっている。
 今まあ、パクリって表現あるけど、形式というか、外形的なものを言い出せばジャズはパクリでないと成り立たないぐらいなんで、全然貶めるといった意図はない。4ビートやってても誰もそれがバクリであるとは言わないし、ましてやアドリブの展開やアイデアがパーカーのバクリだ、なんて言い出したらキリがない。そんな所にJAZZの本質はない。
 ないんだが、徹底的にそこからも飛翔し続けたマイルスがいかに偉大であったか、述べ出すと終わらないのでとりあえずは辞めておくが。う〜ん。確かにスゴイと思う。特に4曲めの「ニュー・ネイティブ」はスゴイ。デイブ・リーブマンというマイルスともやった御方のソロもスゴイが、日野皓正のコルネットは、まあ吾輩の頼りにならん素人耳では、マイルスを越えていると判断する。ソロは。音色も迫力も衝撃も。本当にスゲエ。14分もあるが、短すぎる。もっともっとこの音に身を委ねていたい。
 と、先に徹底的に褒めるのは、気に入らん部分をこれから書くからである。それはネットで調べたりしても誰もが褒め称えておる1曲目の「サークル/ライン」だ。曲名は実にかっこいいが。
 アガルタ、バンゲア、以下アガパンと略すかも、に十分対抗できるだけの素地があるからこそであるが、明るすぎる。快活すぎる。健康すぎるのだ。アガルタ、バンゲアの一種呪術的なおどろおどろしさ。不安にさせられ恐怖感を煽られながら身を委ねて行く背徳的な快感がない。いや、別に無くてもいいんだけどね、あからさまなアガパンなだけに、しかもそこに十分対抗できる素晴らしさがあるだけに、どうしても比べてしまうし、どうしても気になってしまう。そうして気になりだすと、キーボードの入り方、展開の変化の仕方、アガパンでマイルスが提示したコンセプトをなぞっている気がして、どうしても曲に入り込めない。特に何度も繰り返して聞いて、4曲目「ニュー・ネイティブ」を聞いた後は、どうしてもそこんところが気になって冷めてしまう。しかし、まあ、健康的であることが負になるなんていうのは、吾輩が病んでいるからで、このアルバムの最大の聞き所はここである、という世評に刃向かうものではありませんけれど。あ、そうそう。フェードアウトは辞めてくれ。
 あとはレゲエの変形リズムの3曲目「ガンボ」。これも明るいです。聞きやすいです。モノ足りません。2曲め「シティ・スノー」。日野皓正がいいです。病んでます。暗いです。惹きつけられます。最高に素晴らしい2曲の為、他の2曲がどうも居心地が悪くなってしまう。<br>
 しかし、それもこれもやっぱり音楽として素晴らしいからこそ気になってしまうんだろね。形式だけ、テキトーにアガパンしてたら、まるっきり音楽にならないだろうから。まあ、テキトーにできるほど、生易しい音ではないんだけど。<br>
 

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