挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門の最近のブログ記事

0711082.jpg  困るのである。遥彼方20年前、ワタクシ、ウイントン・マルサリス、大嫌いだったのである。何が知的だ、何がクールだ、何が新しい解釈だ、馬鹿者。独善おしつけ傲慢野郎め。おまけにこいつ、日本人にジャズは分からんとか言ったらしいんよなあ。今出典探したが見つからなかった。間違ってたら訂正します。黒人差別に断固反対してる御方が、堂々と人種差別。まあ、中山氏にしてからが、日本人にジャズは出来ないとか膠着した考えを堂々と言ってるしな。(「ジャズ構造改革」彩流社など)言論の自由とは本当に素晴らしいゼ。
 とクソメタに貶したところでこのアルバム。腹立つヤツが思ったよりいい演奏していると、もっと腹立つ事が分かった。f(^^;) クソッ。ピアノがいいのかなと思ったらマーカス・ロバーツ。嫌いなはずなんだよね、この御方も。分かったっ。マイナスとマイナスを掛けるとプラスになるんだ。f(^^;)  ということで、この腹立つまでに非の打ち所の無いライブアルバム。ウィントン・マルサリスの手のひらで躍らされている感じがしないではないが、ここまでの演奏をしてくれるなら、とりあえずは踊りましょう。
  だってJAZZが好きなんだもん。これはJAZZなんだもん。
0711072.jpg  それにしてもこの本は本当にボーカルが多い。と思って数えたら6枚か。2割いっていないのか。でも随分と多く感じる、というのは、それだけボーカルものに印象が強いのかな。というか、ブリジット・フォンテーヌの「ラジオのように」などの、まさに声楽と器楽のぶつかり合い、なんていうアルバムは例外だけど、ボーカルものは、なにかこう、しっくりこないという感じがあるな。
 まさに、ジャズなの? と。でもアドリブという面ではスキャットとかあるし。やっばりジャズか。そのジャズ・シンガーの最大の大物、フランク・シナトラ。いわれてみると、確かに好きなアルバムあるね。オンリー・ザ・ロンリーとか、イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズとか。凄い表現力だもんね。声もやっばりこの人ならではの魅力があるし。
 と、一応はなるほど説明書通りなものは感じるんだけど、CD1枚通して聞くのはちとたいく・・・。いやいや、これは英語が分からないので、途中何言ってるか分からないからだな。f(^^;)  それにしても、ワタクシに取っては、ジャズ・アドリブよりも、遥に遠いのがジャズ・ボーカルのようだ。
0711061.jpg 「ゲッツの天才を聞き取って欲しい。」(200頁)そう中山氏が訴えるスタン・ゲッツのパリ・ライヴ。だが。ワタクシは「箸休め」(同)のゲイリー・バートンのソロ「エーデル・ワイス」を一番楽しんだのでありました。メロディーなら。
 確かにスタン・ゲッツの聞きやすいメロディアスなソロは耳に入る。だけど、メロディーというのであれば、エーデル・ワイスのメロディーの方が、遥に、比べ物にならないぐらいに、耳に入るのでありました。
 魅力がない、と言っている訳ではありません。書き難いので文体変更。
 スタン・ゲッツ。いいよ。聞きやすい。だけど、聞きやすいって事は、ソロの魅力の一つであることは間違いがないが、それだけがソロの魅力という訳でもない。ポップス、ロックでもいいけど、ごく当たり前のヒットソングとか聞いてきたワタクシは、そういったものを凌駕するソロアドリブメロディーは聞いたことがない。だから、ソロのメロディーが素晴らしいと言われると、別の基準を用意しないとアカンのかなと思う。
 けれど、繰り返すが、ゲッツのソロに魅力がないとは思いません。んじゃ、魅力とは何か。間違いなく感じるのはソロのフレーズ。おい。メロディーとどう違うんかい。違うんよね、やっばし。フレーズの積み重ねがメロディーに成り得ると思うけど、ワタクシはもすこし刹那的な瞬間芸をジャズに見るので、その瞬間瞬間、一瞬の美しさが素晴らしいと思うんよね。分かりやすく言えば、短いメロディーということになると思うけど、メロディーと言ってしまうと、もう少し長い起承転結があるというか、ドラマが必要だと考えております。って、勝手な言い分やなあ。
 「瞬時にして珠玉のメロディーを平然とした面持ちで放つスタン・ゲッツ」(同)、平然ってのは何故分かるという突っ込みはさておき「聴き取れないようでは、スタン・ゲッツを、ジャズを理解したことにはならない。」(同)。うむ。似たような事を言っているような気もしないではないが、道はまだまだ遠いようである。f(^^;)  ※径庭 隔たり
0711052.jpg  邦題タイトルにもなっている1曲目の「シェルブールの雨傘」。これ、ずーっと昔、山口百恵の歌で聞いてるよ。これがモトネタか。解説を読むとたいそう有名な曲らしく、まさかこんな有名な曲を堂々とパクるはずもないので、多分カバーだろう。似たようなタイトルを付けてると思ったんで、ちょっと探してみたが、短時間ではちょっと分からなかった。もう頭の中では、山口百恵の歌が鳴りまくってるんだけどなあ。
 まあ1曲目だけではなくどこかで聞いた曲が満載で、ゆったりと曲を楽しむんだけど、フェイドアウトは辞めてくれよ〜。
 ジャズ・ボーカル、というものがどういうものか全然わかっとらんのであるが、曲がすごいいいので、普通に楽しめる。きっと奥が深いのであろう。あんまり分からんのであるが、とりあえず曲がいい、しつこいな、ので何度も聞くだろう。いつか奥まで行けたら、幸いである。
0711051.jpg  なぜワガハイはこのアルバムをおさえなかったのか。敬愛する、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ参加なのである。それだけでも十分購入動機になるじゃないの。こんな素晴らしいアルバムを、今まで聞いてなかったなんて、なんてワガハイは馬鹿なのだ。あまりの馬鹿さ加減にいやんなる。
 アート・アンサンブル・オブ・シカゴがボーカルのバックだもんなあ。この強烈な音を向うに回し、一歩も引かず個性満点、自らの名義のアルバムである、と高らかに宣言しているのがブリジット・フォンテーヌ。フランスのシャンソンの人らしい。
 強烈な個性のぶつかり合い。爆発する寸前のマグマのような、強烈に熱く蠢いている様に、一瞬たりとも気を抜けない。しっかし、本当に声一本でアート・アンサンブル・オブ・シカゴに対抗してるもんなあ。凄いの一言だよ。
0711042.jpg  中村とうよう派としては、クラシック嫌いである。故にストリングスに嫌悪感を示す。ストリングスの入ったジャズアルバムにいいものはない、というのが教えである。実は例外もあるにはあるが、あくまで例外である。
 クラシックでもポップス的旋律が十分楽しめたりするように、虚心坦懐聞いてみると楽しめる曲も結構ある。まあ小学生でも楽しめるのなら楽しめる、と言っているので当たり前のことである。
 んで、テイクファイブで有名な、デイヴ・ベルーベックである。いきなり18分半もある、ブランデンベルグ・ゲイトというストリングスのたっぷり入った曲から始まる。しかも、この曲、非常に心の琴線に触れる、切なさ満点のメロディーなのだ。デイヴ・ブルーベックの丁寧なソロがあり、その後、ポール・デスモンドのソロが始まるのであるが。
 中山氏は「天使のような音質とフレージングが、あまりにも美しく、やるせない。」(195頁)と表現している。本の受け入りのような事は言いたくないので、最初の比喩は放っておくが、そもそも天使の音なんて知らんもんね、だが、この美しいソロを、美しいという言葉以外で表現できる人がいるであろうか。やるせないというのは、心のよりどころがなく思いを晴らす方法がない、胸が鬱積して心が晴れないと今調べたら辞書に載っていた。ワタクシの受ける印象はちと違うのではあるが、まあ、遠からずと言った所か。
 切なさ満点のストリングス、それをこれでもかと煽るようなピアノ、そしてこのソロだ。泣くぞ。人生とは思いもよらず、思い通りにもならないことだらけである。そう思っていると。だが、乗り越えなければならない。勿論、乗り越えるには、まず経験しなければならない。
 「ブランデンブルグ・ゲイト」は、人を泣かせるソロを聴かせた後、人の気も知らず続くのであるが、デイヴ・ブルーベックのソロは力強さを増し、更に力強いドラムソロを聴かせた後、終わる。んで当たり前に次の曲に入り、ポール・デスモンドがソロを取り続くのである。
 人生も続くのである。経験してなお、力強く歩くのである。歩きたい方へ、歩くのである。たとえストリングスが卑怯にも美しくメロディーを奏でても、ポール・デスモンドが泣かせても、デイヴ・ブルーベックのピアノに安らいでも、なおかつ歩き続けなけりゃならんのである。
 表面は美しく優雅であるが、力強く前へと勇気づけてくれる。うーむ。今日はなんかいいことあったんかい。
0711041.jpg  中山康樹氏の「最後のジャズ入門」は、普通の入門書とはちょっと他の入門書とは違ってて非常に面白いのだが、通常ジャズ入門というとゼッタイに推薦CDに入ってくるコルトレーン、ロリンズ、バド・パウエル、そしてチャーリ・バーカーがない。個人的にはエリック・ドルフィーやクリフォード・ブラウンが無いのが残念だけど、すれは譲っても、最初の4人が無い入門書というのは恐らく他に無いのではなかろうか。まあ、「最後」ということで、気色が違って当然なんだけど。
 で、マイルス、ビル・エヴァンスは別格として、エリントンとこのモンクがとりあえず巨人と呼ばれてる人の代表かな。ふーっ。長い前置き。
 で、モンクといえば、また別の機会にじっくりと述べたいが、ケンカセッションとかの逸話は中山康樹氏が、ワタクシから見ればあんまり説得力の無い理由で捏造と決めつけているが、他にもかなり変人としての逸話が残っていて、変わった人で知られる。ちなみにワタクシの好きなアメリカドラマ、名探偵モンクも変人だ。思いっきり関係ないな。
 どんな解説書を読んでも、ちょっと変わったピアノスタイル、ひっかかりとっかかり超個性的、ということに相場は決まっている。「わざとヘタに」というのも中山氏の評だが、まあ、そんなピアノだ。映像を見てると、本当に子供が遊びながら弾いてる感じで、見ているだけで楽しい。
 だが、確かに個性的で十分楽しいと認めつつも、例えて見ると、ヒッチコックの映画を今見るような感じがする。なるほど、ここがオリジナルか、という感慨はあっても、映画の肝である、映像、音響効果としてのはったりが昔とは比べ物にならず、アイデアをたとえバクッてはいてもそのパクリの方が初見だったりするので、残念ながら衝撃というものは思ったほどではない。勿論何の注釈もなしに、現在でも十分に衝撃的なヒッチコック映画はあるけどね。
 幸いにも、モンクの音楽はまだまだ比べれば十分衝撃的な個性を感じることは出来る。要するに、これを最初に聞いてたらなあ、というどうしようもない後悔の念と、先に中途半端なモンクもどきを聞いてしまった運命に文句いいたいよって、すいません・・・。
 で、この「ミステリオーソ」ですが、かような理由でモンクの衝撃がスポイルされてしまったワタクシにとっては、どっちかというとサックスのジョニー・グリフィンのアルバムだと思ってしまう。もう全編頑張って吹きまくってるし。それに、モンクのバッキングも別に悪くないし。マイルスが嫌がった、というのも分からなくもないけど、場の雰囲気を壊すどころか、いい感じなんやけど。ソロの印象が強すぎるのかな。まあ、余裕ですかね。
0711031.jpg  ふひ〜。久しぶりにもうジャズの王道、本家、骨太の基本アイテム、の登場ですね。優秀なボーカルものは、スッと入り込める楽しさ、雰囲気があるが、このエリントンのトリオから受ける印象はまさに一変。
 ゴリゴリとひっかかりまくりながら、引きずり込まれる。これだよこれ。これなんだよ。音は悪いが、そんなことで感動が薄れる筈もない。もうゴリゴリ、は今書いたか、ザラザラしたというか、ゴツンゴツン、ああ、なんかもっと語彙ないんかいっ、情けない。ズゴッと来て、バキッとやられて、ゴロゴロ・・・。
 全曲エリントンの作曲だが、このバラエティー豊かな曲調、最初から最後まで貫かれている緊張感、この録音時、すでに相当ジジイであった筈だが、そのジジイに対して、若々しくも小難しい生意気なミンガスとローチが、一切の容赦なく襲いかかる。本気で倒すことが師匠への恩返しと言わんばかりだ。
 エリントンのオーケストラから聞くことの出来る大らかなで聞きやすい音ではないし、ビル・エヴァンス・トリオのような交歓会とも違う、一触即発の緊張感が続く。一瞬の油断で全てを失うような、恐ろしさがある。堪らんわ〜。
 ところで、2曲目の「FELRETTE AFRICAINE」を聞いて思い出したのが、マイルスの「NEFERTITI」。同じ緊張感が流れてる。マイルスの方が徹底してるが、エリントンの方も決して油断してはならないのであった。
 全ての道はローマに、ではないが、全てのジャズはエリントンから。かも。
 
0711021.jpg  え〜とですね。関係ないのですが、レーベル名分かりませんでした。いっぱい書いてあったので、いっばい書いておきましたが、長くなってしまったなあ。
 それと、最初に文句を。中山氏に拠ると「ジャケットに書かれているのは、場末のジャズ・クラブの 〜」とあるんだけど、なんで場末と分かる? まあジャズやるような所は大抵は場末だろうし、ひょっとして場末以外の場所でジャズはやらんのかもしれんが、そんなことはないか、この決めつけは勇み足やろう。中山氏と言えば、強引な決めつけが楽しい所ではあるんだけど、根拠なく自分の偏見をさらけ出すのは見苦しいんではなかろうか。
 と、ひとしきり文句を言い落ち着いたので、ゆっくりと褒め称えよう。ボーカルもの、は当たり前だが、歌、声に力が必要だ。ここん所、そうした傑出した優秀作品ばっかり聴いているんだけど、これまた、歌の、声の力がバツグンに魅力あるビョーク。なんの文句があろうかな。
 やっばりね。もう、音楽が始まった瞬間、歌が始まった瞬間の衝撃っていうかな。その瞬間にもう勝負あったって感じあるよね。恋愛は全て一目ぼれというかさ。まあ、例外はあるから世の中は面白いということも十分経験はしてるけれど、基本はやっばり抑えないと、という感じはする。
 だから、勝負は早いよ。さっと聞いて、ダメならもう聞く必要はないもん。最近というか、いつからか、ネットでも試聴、店頭でも試聴ができるようになっているんだけど、大変素晴らしいわな。このビョークなんて、試聴した瞬間、ゼッタイに全部聞きたくなるで。最後まで聞けない心境は味わいたくないなあ。
 で、バックを務めるピアノトリオなんだけど、浅学のワタクシには、誰一人分かりません。というか、文字も読めません。f(^^;)  知らない所にも素晴らしいミュージシャンは沢山いるんだ。まだまだ聞き続けなくちゃ。
071102.jpg  ジャコ・バストリアスのベース、ウェイン・ショーターのサックス、ハービー・ハンコックのエレクトリック・ビアノ、ジャズの一流ミュージシャンがバックを務めているが、一番ごっついのはジョニ・ミッチェル本人のギターやないか。この打楽器的なたたきつけるようなギターは迫力ある。静かな曲のなかにこれは異彩を放ってて気持ちがいい。
 といいつつ、あんまり思い入れがないので気持ちもイマイチ入らないのであるが、ジャコ・バストリアスのベースが素晴らしい。ミンガスとの共演が実現しなかったとはいえ、それを補ってあまりあるジャコの演奏が聴ける。
 ウエイン・ショーターも、ここ、というところで短いが存在感十分な音を聴かせてくれる。至る所に聞き所があり、油断してらないんだけど、計算通りに驚いているようで悔しい感じも。
 世間的な評価の高い名盤に食ってかかるのも楽しいけど、世間的な評価に添うのも、なんか悪くないような気がしてきた。年取って丸くなってきたんやな。でもそればっかりでも面白くないので。
 青い赤鉛筆のような表現を時々皮肉るけど、ここでは逆に、赤鉛筆に青色を求めるような気持ちが起きてくる。つまり、完璧な知的なサウンドに、もう少し破綻するような瞬間が欲しいって思ってしまうんだよね。完璧な故に、かえってないものを求めてしまうというか。個人的に爆発音楽が好きっていうのもあるし、昨日から続いている、というのもあるね。
 

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