2012年5月アーカイブ

kitara.jpg  何気なしに手にとった一冊。帯が山下洋輔。山下洋輔さんの書く本の面白さが抜群なのは当然知っておるので、その人の推薦本なら買ってもいいか。程度のものだった。新書だったし。損しても大したことなかったし。
 チラリと最初に出てくる歴史、本の案内などはまだそうでもなかったが、最初ペーター・ブロッツマン。こんなとこに出てくるんだ~、へ~、のデューク・エリントン。アイドルのエリック・ドルフィーの項を読んだ時にはもうすでに嫉妬で狂ってた。
 先の山下洋輔さんにだって、そりゃジャズメンはこんなに世界中旅してるんだ、こんなに楽しいんだ、なんて嫉妬したけど、そりゃ音楽の才能溢れる、日本の誇る天才である。あ。こんな書き方したら、著者の田中啓文さんは才能ないみたいな書き方だけど、それは全然チガウのである。単に、私が世間知らずで知らなかっただけの人であるのだ。考えたら私が知らんけど才能豊かな人って山のように居るのも当たり前やな~。

 それでこの本である。とにかく音が聴きたくなる。ジャズについて書いてる本で、これほどまでに面白い文章に出会ったのは、本当に久しぶり。というか、二回目かも。文章に魅力がある。一番最初に私がジャズについてまとった本を読んだのは、故油井正一先生の著作だったと思うが、あの時以来の面白さと言っていいであろう。
 いや、もちろん、菊地成孔さんの本から頂いた知的興奮もスゴイんだけど、趣はそりゃ全然違うわね。

 大好きなフリージャズをこんな風に表現できるなんて。こんなに音が聴きたくなる文章を書けるなんて。そしてこんなにスバラシイ音楽を聴いてきてるなんて。もう総てにおいて嫉妬の対象であった。しかもほぼ地元。四つ年上という同年代。う~ん。ちくしょ~。ウラヤマシイよおおっ。

 いや。男は羨ましがってはイケナイ。悔しがれ。なんていうのを確か昔のテレビドラマが言ってたのを覚えているのであるが、それにしてもウラヤマシイ。こんな文才が欲しい。耳が欲しい。

 ちなみに今月末、西宮のコーナーポケットというJAZZ喫茶で、この著作の特集コンサートとでもいうのかな。あるらしいのだ。行こうっと。


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ミュージック・マガジン誌2009年度ジャズ部門第5位。このCDのレビューを読んでると、高確率で「優雅なピアノ」という表現が出てくるのである。人と 同じようには聞きたくないと思いつつ、このピアノを優雅と表現しなくて何を表現する、という感じがする。陳腐すぎる表現だけど、聞いていてほっとする。安 心する。眠たくなる、ことはないけど。いつまでもゆったりと音楽に包まれてぽんやりしていたい。モンクのタイトル曲のカバーもまさにその典型で、すぐに ジャズがど~とかこ~とか、モンクと比べてあ~だのこ~だの、そんなことはまあ後でって感じで、本当に音楽って素晴らしいと今更ながら再確認させてくれ る。本当に素晴らしい。
  基本的にはR&Bの人らしいのだが、恥ずかしながら初めて聞くアラン・トゥーサン。ミュージック・マガジン誌 で松尾史朗さんが言うようにこれはジャズ以外の何者でもないのだけれど、単に懐古主義な音になっていないのは、ジャズ畑の人ではなかったからなのかもしれ ない。インスト曲の中で唯一の歌ものは一級品のブルースでなんともいえん味があるし。
  今ふとアマゾンのレビュー読みに行ったら、全員満点の五つ星付けてる。ま~、そうだよな~。音楽好きにはたまらんし、そうでなけりゃ、聞こうとも思わんやろ。んでもとりあえずこれ聞いて、ぽんわかできる人とはお話がしたいと。かように思うわけでございました。

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